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今回は「失敗しないGIGAスクール構想とは守備を固めることである」というテーマでお話します。
GIGAスクール構想といえば、教育業界でただいま盛り上がっている話題ですね。
「これから我らの学校がGIGAスクール構想に入っていく!」
「現在もGIGAスクール構想の真っ定中なんだけど、上手くいかない…」
といった方たちへ参考になる内容だと思うので、ぜひご覧ください!
失敗しないGIGAスクール構想とは守備を固めることである
守備を固めるとはセキュリティとルールの徹底である
まず「超」簡単にGIGAスクール構想の要点を確認します。
「令和時代のスタンダードとしての学校ICT環境を整備し、全ての子供1人1人に最もふさわしい教育を」
このような背景がある上で、
・学校のインターネット環境(特に無線LAN)を整える
・子どもたち一人ひとりに端末がある。
ということを目指しているわけです。
GIGAスクール構想での子どもたちは、学校でパソコンやiPadが使えて、それもネット環境が無線なのです。
僕が子ども時代から比べるとすごい進化ですね!
さて、そんな夢のようなGIGAスクール構想。
実際、僕はGIGAスクール構想に向けて取り組んでいる学校で働いています。
子どもたちに一人一台のiPadがあり、教室や職員室にもWi-Fiが完備されています。
そんな学校に日々働く中で、気づいたこと。
それが、「守備を固めること」でした。
Wi-Fiが整備された学校。
一人一台に端末がある学校。
それはもうテンションが上がります。
子どもたちも、先生も。
いろいろな実践にチャレンジできます。
つまり、みんなが押せ押せムードで「攻撃力」は上がっているのです。
しかし、RPGでもそうですが、攻撃だけで敵やボスは倒せません。
相手からの反撃に合い、やられてしまいます。
攻撃と同時に守備や防御も大切なのです。
さて、GIGAスクール構想における具体的な守備とは何か。
それが、「セキュリティとルールの徹底」なのです。
セキュリティ
僕の実体験から具体的な話をしましょう。
本校の端末はiPadです。
繰り返しますが、一人一台です。
設定の際に大切なこと、それはセキュリティです。
セキュリティに関しては最低、以下2つのことは守った方が無難です。
・インターネットにフィルターをかける
・アプリを勝手にインストールできない
まずは有害サイトにアクセスできぬようフィルターをかけましょう。
インターネットは良い情報もあれば「ゴミ情報」もあります。
有害サイトの中には、暴力的な表現や年齢に相応しくない情報があります。
そして厄介なことに、有害サイトには子どもたちに「依存症」を引き起こしてしまう可能性もあります。
もちろん、人間とは様々な失敗を乗り越えて成長するものです。
ですので、有害サイトを覗かせ、不快な体験を敢えてさせる教育もあるかもしれません。(すごく荒療治ですが)
しかし、有害サイトは「麻薬」に近いものがあります。
体験しなくて済むなら、体験しないに越したことないのです。
そして、iPadならばアプリのインストールも勝手にできないようにしましょう。
もちろん、世の中には学習意欲を促すアプリがあります。
しかし、ゲームアプリがあったり、課金のアプリがあったりと、子どもたち自身にすべての判断を任せるのはリスクが強すぎます。
ですので、可能ならば、学校一括でフィルターの設定や、アプリのダウンロードができるといいでしょう。
ルール
どんなにセキュリティをかけても、それはあくまでシステムのこと。
やはり、iPadを使用するのは人間ですので、そこにはルールが必要になります。
iPadは便利な反面、たくさんのトラブルが生まれてきます。
また、iPadに没頭するあまり、授業に身が入らなくなることもあります。
僕の学校ではこんなルールがあります。
・先生の許可を得て使用する
授業において目的を持って使うこと。
休み時間に使う場合は先生に許可を得ること。
こういうルールを聞くと、「先生が押し付けたルールでは子どもたちの自主性が育たない」という主張をする人がいます。
確かにそのとおりだと思いますが、今回はGIGAスクール構想においてクリエイティブなところを求めているのではなく、安全・安心といった土台の部分を提案しているのです。
それでも「子どもの自主性を尊重したい方」がいるのならば。
はっきり言います。
「別にiPad云々ではなく、他の場面で自主性を育てなさい!笑」
GIGAスクール構想の問題点・課題は何か?
GIGAスクール構想の問題点・課題をネットで調べると、
・学校ごとにICT環境の差がありすぎる。
・ICTを使う教師の意識や技術に差がありすぎる
といった内容がヒットします。
僕はいろいろな学校を経験していますので、学校ごとにICT環境の差があることはわかります。
また、ICTを使う教師の意識や技術に差がありすぎることもわかります。
ただ、僕はこの論理があまり好きではありません。
なぜなら、この論理は、「GIGAスクール構想に前向きな学校・教師」が「GIGAスクール構想を知らない・できない学校・教師」に対して、一方的な批判をしているからです。
その自治体、その学校の事情もあり、GIGAスクール構想を進めたくとも、なかなか前に進めないこともあるでしょう。
そのような各々の事情があるにも関わらず、「GIGAスクール構想が進まないのは教育委員会や校長が積極的ではないからだ」と批判するのもフェアではありません。
話を戻しましょう。
僕は、GIGAスクール構想の問題点・課題とは、「授業・学級経営の質が落ちること」だと考えています。
少し感覚的なところが含まれていますが、ここ数年、授業の質について強く感じます。
GIGAスクール構想の授業の肝は、ICT・個別最適化・先生が教えない授業、などが挙げられます。
教師はファシリテーターになることを求められます。
子どもたちは大人に言われなくとも、自立・自律できるよう求められます。
考え方としては素晴らしいと思います。
僕だって、目指しています。
しかし、この考え方は同時に、教師からあることを奪いました。
それは「教えること」です。
子どもだって教えられたがっている!
子どもたちに自立・自律を促すこと自体は、何も問題ありません。
むしろ、そうするべきです。
しかし、自立・自律を促すことは、「放任」ではありません。
教えるべきこと、与えるべきこと、学ぶべきこと、知るべきこと、などをしっかり身につけた上で、自主性を尊重するのです。
僕のクラスの子どもたちは、給食当番や係活動など、クラス全体のお仕事を本当に進んで取り組んでくれます。
ここに至るまでは、僕以前の先生たちが、給食当番や係活動のやり方や価値をしっかり教え、その上で褒める・叱るといった行動への評価をしてきたからです。
また、僕のクラスでは、レクリエーションで子どもたちから様々なゲームを提案してくれます。
それも最初は僕が教えて、実際にやってみたゲームです。
そのゲームが楽しいと、子どもたちは自らやってみたくなります。
進級してクラス替えがあっても、「去年のクラスでこんなゲームをあったので、またやりたい!」となります。
つまり、子どもたちは、知りたいのです。
未知なる世界を学びたいのです。
教えてもらいたいのです。
だから、
「自立・自律を促すことと教えることは対立するのではなく、どっちも与えればいい」
と考えています。
GIGAスクール構想は素晴らしいことです。
しかし、「教えること」に対し消極的になり、子どもたちの「未知なる世界を学びたい!」という欲求を叶えられず、
その上で「自立・自律しなさい」と放任され、
コンピュータばかりと向き合い、人間味を失っていく…
そんな光景を感じるのです。
また、何かトラブルが起きたときに、「先生は何も教えてくれなかった」という事態もあまりよくないことでしょう。
それこそ自らを防衛し、守備を固めるという面でも、指導をコンピュータにすべて任せるのではなく、「先生が教える」ということは大切なのです。
GIGAスクール構想をいつから実施してきたか
今更の内容ですが、僕のGIGAスクール構想への取り組みを紹介します。
まずは、いつから実施してきたか。
主に2校です。
1校目は、教室にWi-Fi完備。一人一台のChromebook。教室にモニターとChromecastがありました。
2校目は、教室にWi-Fi完備。一人一台のiPad。教室にモニターとappleTVがありました。
グーグルか、アップルか、という違いだけで、基本的に環境自体は似ていました。
ちなみにChromecastやappleTVがあると、HDMIなどのケーブルがなくても、ワイヤレスでモニターに移せるのでとても便利です。
GIGAスクール構想のベストな端末は何か
2校でChrombookとiPadを使ってみてわかった、それぞれのメリットとデメリットを紹介しましょう。
Chromebookのメリット・デメリット
グーグルが開発した安価なノートパソコンです。
メリットとしては、
・タイピングとプログラミングに向いている
という点です。
プログラミング教育が流行したとき、「あくまでプログラミング的思考を伸ばすのが大切」だと叫ばれ、本家のプログラマーのようなコーディングは必要ないとされました。
しかし、コーディングは当然のこと、我々が普段使っている「Word」や「Excel」も、基本はパソコンで作成します。
つまり、タイピングが必要になります。
iPadでもタイピングはできるのですが、子どもたちの様子を見ると、何も言わなければ、「五十音順」や「音声」での入力に頼ってしまいます。
よりパソコンに近いスキルを身につけるならば、Chromebookがオススメです。
デメリットとしては、「Wi-Fiが命だということ」です。
たとえば、体育館や理科室といった特別教室で使用する際、Wi-Fiが繋がっていければ全く機能を発揮しません。
iPadならば、体育でお互いの技を動画で取り合ったり、プレゼン資料を作ったりと、Wi-Fiがない環境でも活動の幅が広がります。
しかし、動画が撮れない(カメラ機能付きの機種もあるのですが使いづらい)、Wi-Fiがないとプレゼン資料が作れない「グーグルスライド」など、Chromebookにはデメリットがあります。
iPadのメリット・デメリット
アップルが開発したタブレットです。
メリットとしては、
・一つの文房具として扱える
ということです。
起動に時間はかかりませんし、アプリの数だけ創造性が広がります。
動画を作ったり、
プレゼン資料を作ったり、
アプリで学習をしたり、
お絵かきをしたり、
プリントのデータを配布・回収できたり、
と、素晴らしい機能をたくさん持っています。
一方、デメリットとしては、「依存の高さとトラブルの多さ」です。
iPadはそのお手軽さで、つい依存をしてしまいます。
たとえば、調べ学習をした際に、教科書や本の情報ではなく、ネットの情報を頼ることが多くなっていします。
前に触れたように、ネットは「ゴミ情報」も多いので、誤った情報を学んでしまうことがあります。
また、ネットでは無料でできるゲームも多く、授業中にも関わらず、課題そっちのけでゲームに没頭してしまうこともあります。
そしてiPadは写真や動画を撮ることができるのですが、勝手に他人の写真を撮って、それをエアードロップで流すー、
お手軽で多機能な反面、トラブルも起きやすいのがiPadです。
まとめ
GIGAスクール構想は、まだまだ歴史の浅い実践ですので、トラブルが多いのも当然です。
そのトラブルを糧にして、今度よりよい教育を実践していくのが大切だと考えます。
守備の部分では、具体的にはセキュリティやルールを徹底すること。
攻撃の部分では、パソコンとタブレットを目的や発達段階に合わせて、ハイブリッドに使っていくことが理想だと考えます。
最後に、僕の知り合いやお世話になった方々が書いた著書をしますので、ぜひご覧になってみてください。
ご精読感謝致します。
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