私事ですが、前回の『学び合い』に関する記事がものすごく反響ありました。
この反響の背景には、先生方の『学び合い』への関心の高さだと勝手に思っています。
『学び合い』をやってみたい、という動機はいろいろあると思います。
・「クラスを安定させたい…」
・「子どもたち主体のクラスにしたい…」
・「面白そうだからやってみたい!(僕はコレです笑)」
どれも素晴らしい動機だと思います。
『学び合い』をしっかり理解すれば、すべて叶えられます。
しかし、敢えて最初に紹介しなかった言葉があります。
そして、その言葉は学校教育において、とても大切なことです。
何だと思いますか❓
正解は…
「学力を上げたい…」
これですね。
この言葉を『学び合い』と関連付けると、本記事のテーマはこうなります。
『学び合い』で学力は上がるのだろうか❓
『学び合い』をやってみたいけど、最後の最後で躊躇している人はここではないでしょうか❓
その気持ちは当然です。
学力の向上をきちんと保障するのが、学校教育の大切な使命です。
しかも『学び合い』では、先生は教えないらしい…
『学び合い』をやって子どもたちは楽しそうだけど、学力は下がっていく…
これでは、保護者も納得しません。
むむむ…『学び合い』は学力向上と結び付けられるのか❗❓
気になりますよね笑
簡単で確実に伸びる学力向上テクニック入門-会話形式でわかる『学び合い』テクニック-THE教師力ハンドブック-西川-純
この本と、僕の経験を踏まえつつ、これから詳しくお話していきます❗

ぜひ楽しんでな❗
『学び合い』で学力が上がる3つの理由【簡単ではないが確実ではある】
結論から言います。
『学び合い』で学力は上がります。
ただし、ここで2つの大前提があります。
・『学び合い』をしっかり理解しているか。
・学力の定義をきちんと示しているか。
この2つがあってこそ、『学び合い』で学力を上げることができます。
『学び合い』の提唱者である、上越教育大学教授の西川純先生をはじめ、『学び合い』の著書はたくさん出ています。
ぜひこちらを読んでいただき、『学び合い』についての理解を深めてほしいと思います。
そして、あなたの学校・クラスでの学力の定義は何でしょうか❓
この定義を先生方も、子どもたちも、しっかり理解していることが大事です。
・市販テストの点数
・国や都道府県が出される学力テストの点数
・思いやりや粘り強さなどの非認知能力
いろいろあると思います。
また、場面々々でいろいろ変わると思います。
とにかく、あなた自身が学力の定義をしっかり定めること。
『学び合い』においてはそれが大切です。
以上の大前提をきちんと踏まえれば、確実に学力が上がります。
『学び合い』をまだ勉強中の人は、その労力が必要なので、決して簡単ではないでしょう。
本記事のサブタイトル「簡単ではないが確実ではある」とはそういう意味です笑

『学び合い』を理解してしまえば簡単やで❗
目標・指導・評価の一致
『学び合い』は、目標・指導・評価の一致を大切にしています。
たとえば、
・明日の国語で漢字10問テストをします。範囲は○ページ。8点以上が合格です。(目標)
・だから今日の国語では漢字練習をします。(指導)
・○○さんは9点でした。合格です。(評価)
シンプルな授業ではありますが、目標・指導・評価がしっかり一致しています。
「そんなの当たり前でしょ❗❓」
という声が聞こえそうですが、本当にそうでしょうか?
たとえば、国語の物語文の授業。
・単元目標が「登場人物の気持ちの変化を読み取ることできる」といった内容で、
・授業も単元目標に沿って行っていたにも関わらず、
・最後は市販テスト(授業の内容と関係ない問題)を行い、
・その点数が成績に反映される。
なんてことがありませんか?
目標・指導・評価の不一致です。
『学び合い』は、教師が指導するところを子どもたちに委ねる教育です。
子どもたちが自ら学び合うためには、目標と評価が、子どもたち自身もわかっていないといけません。
ゴールがわかるからこそ、子どもたちも自ら動き出せます。
先程の漢字10問テストでたとえると、
「明日の漢字10問テストで全員が8点以上取れる」という目標を子どもたち全員が理解します。
その日の授業は子どもたちに委ね、目標に向かって学び合います。
ノートに何度も書いて練習する子。
仲間と問題の出し合いをする子
困っている仲間に教えてあげる子。
こんな姿が観られます。
そして、次の日に漢字10問テストを受け、目標を達成できたか、みんなで振り返ります。
こんな流れになります。
尚、この一連は『学び合い』の本質をしっかり理解しているクラスの流れです。本質を理解していないと失敗しますので、『学び合い』の本などをしっかり読んで学んでください。
少し混乱させてしまったかもしれません。
わかりやすく言うと、行きあたりばったりの授業ではなく、きちんと目標・指導・評価の計画を立てて授業を行うのが『学び合い』です。
サッカーが上手くなりたいのに、お手玉の練習をしても上手くなりませんよね❗(人間の深い部分では可能性はありますが笑)
市販テストが目標なら、それに向かって練習する。
学力テストが目標なら、それに向かって練習する。
思いやりや粘り強さが目標なら、きちんと評価基準を明確にし、それに向かって練習する。
目標に向かって練習するのが『学び合い』です。
だから、行きあたりばったりの授業より、学力が上がるのです。
一斉授業では見逃された行動を防ぐ
『学び合い』の本質となる言葉は「一人も見捨てない」です。
この言葉にも深い意味があるので、くどいですが、ぜひ本などから学んでください。
さて、『学び合い』が上手く実践できているクラスでは、
まず、寝ている子がいません❗笑
僕のクラスでは、寝ている子がいたら、「○○ちゃん大丈夫?」と、子どもたちが優しく(?)起こしてくれます。
全員達成の目標のもと、みんなが協力しているからです。
また、一斉授業では、良くも悪くも授業が流れていくので、子どもたちは「わかったフリ」ができます。
しかし、『学び合い』では「わかったフリ」は、子どもたち同士が見逃しません。
「○○くん、本当にわかったの? ちょっとこの問題解いてみて!」と、子どもたちがしっかり確認をしてくれます。
もちろん、上手くいかないことも多々あるのですが、それもみんなで乗り越えるのが『学び合い』。
とにかく、一斉授業では見逃された行動を防ぐことができ、結果、学力が上がるのです。

一斉授業は一斉授業の良さもあるで❗
絶大なアウトプットの場
『学び合い』でよく使われる課題として、
「○○について説明できる」
という文言があります。
ただ、問題を解くのではなく、「その答えになった理由」を説明するのです。
「ラーニング・ピラミッド」というキーワードをネットで調べてみると、以下のような言葉が書かれた図が出てくると思います。
学習定着率
5% 授業や講義を聞いて学ぶ(=Lecture)
10% 教科書や本を読んで学ぶ(=Reading)
20% 写真・図版、動画などを見て学ぶ(=Audiovisual)
30% 実験などの実演を見て学ぶ(=Demonstration)
50% 与えられた課題をグループで議論する(=Discussion Group)
75% 問題集などを解いて練習する(=Practice Doing)
90% 覚えたことを他の人に教える(=Teaching Others)
参考URL:https://blog.covez.jp/kanagawa_yokohamamutsuura/message/entry_2759.html
これを見ると、学習の定着率は「覚えたことを他の人に教える」ことが一番強いことがわかります。
『学び合い』はこの「覚えたことを他の人に教える」場面が、一斉授業に比べて圧倒的に多いです。
僕のクラスでは、子どもたち自身も「他人に教えた方がよく理解できる」と言っています。
絶大なアウトプットの場がある。
よって『学び合い』が学力が上がるのです。

先生も子どもたちに説明している内に色々覚えるからな❗
まとめ:本質を理解しなければ逆効果
僕は『学び合い』の体験者です。
成功も失敗もあります。
正直言ってしまうと、『学び合い』は簡単ではありません。
理由は「教師自らの在り方が問われる」からです。
西川純先生も「『学び合い』は考え方です」と言っているように、教師自らの考え方が行動になり、その行動すべてが子どもたちに観られている感覚があります。
『学び合い』に限らないと思いますが、教師は常に自分を高めること。
思いやりを持つこと。
責任感を持つこと。
これらは決して忘れてはいけないと確信しています。
『学び合い』に関しては、教師の情熱が露骨に出る教育です。
良ければ良い。
悪ければ悪い。
実際に『学び合い』をやってみないとわからないと思いますが、ぜひ心のどこかで覚えてほしいと思います。
何かございましたら、ぜひご連絡してください❗
お互い頑張っていきましょう❗
今日のシン・キョウシの格言
「『学び合い』は考え方だ。これは嘘じゃない」
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