まだまだ未熟者ですが、自分の教師修業を振り返って、『学び合い』を知ったことは教育観の大きなアップデートでした。
『学び合い』は上越教育大学の教授である西川純先生が提唱した考え方です。
同じ名称で佐藤学先生が提唱した「学びの共同体」という考えもありますが、似て非なるものですので、混同しないように注意です。
僕が『学び合い』を知って、実践に用いたのは、教師修業3年目のときでした。
それ以前は、TOSSや筑波大学附属小学校の問題解決学習を学んでいましたが、「もっと子どもたち主体の授業や学級経営をしたい!」という想いから、偶然『学び合い』の本を見つけました。
最初に読んだときは正直「ふーん、本当かな」といった疑問でした。
その当時、特に自分の学級経営にも問題があったわけでもないので、「わらにもすがる」想いで『学び合い』を実践したわけでもないのです。
面白そうだからやってみよう、その程度です。
そして、実際にやってみると…衝撃でした❗
子どもたちが魔法のように自ら学び出すのです❗
そこから『学び合い』についてもっと研究しました。
研究する中で、『学び合い』に関する批判を聞くようになりました。
ただ、僕の考えでは、教師をやっていく中で、『学び合い』を知って損は絶対にないと思います。
その理由をこれから述べますね。
「これから『学び合い』をやってみようかな」と考えている先生方もいると思います。
そのような先生方に少しでも参考になれば幸いです❗

3つ紹介するで! 楽しんでな!
子どもたちの個性がわかる
『学び合い』をすると、子どもたちの素のままの様子が観られます。
普段の授業では、教室にみんなが席について、じっと先生の説明を聴いたり、黒板の字を写しています。
ここに子どもたちの個性は見えません。
しかし、『学び合い』では、学び方を子どもたちに委ね、教室を立ち歩く子、「わからないよ!」と声を発する子、一人で黙々と取り組む子、こんな姿が観られます。
どちらというとイメージは「休み時間」に近く、ありのままの子どもたちの様子が観られます。
普段、超真面目な子が、友達と文房具の見せ合いをしていたり、やんちゃな子が困っている仲間を助けてあげたりする姿も観られます。
先生がハッとする場面もたくさん観られ(もちろん良い場面ばかりではないですが笑)、子どもたちへの見方や接し方も変わってきます。

授業中は先生もフリーになるので、じっくり子どもの様子が観れるちゅうわけやな❗
ファシリテーションを学べる

昨今の教育では、「教師はファシリテーターになれ」と言われます。
つまり、「知識をただ教え込む先生から、子どもたち自らが学ぶ意欲を引き出せるような先生になろう」という考え方ですね。
もちろん、様々な知識を教えるのは先生の大切な使命なので、その使命は絶対に忘れない、というのが僕のポリシーです。
ただ、時代に合わせて、教育観をアップデートしていくのも、これからの先生に必要な能力なのだと思います。
そして、『学び合い』を知ると、なんとファシリテーターのトレーニングにもなるのです❗
『学び合い』の一般的な流れは以下の通りです。
・本時の授業の目標や意義について教師が語る(5〜10分程度)
・子どもたち同士が目標に向かって学び合う(30分程度)
・目標について振り返る(5分程度)
とにかく子どもたちの活動時間が長いのがわかります。
ただ、「よーし、みんな学び合え❗」と言って、子どもたちが主体的に学ぶかといえば、そんなことありません。
やはり、教師からの学習に対する目標や意義への語りが大切になるのです。
よく「『学び合い』では教師が何もやらない」という声が上がります。
それについては断言します。
そんなことはないです。
教師は大切なことを教えています。
それが最初の約5分間です。
この5分間で、子どもたちの学び合いが促進するような声掛けをするのです。
子どもたち自らが学ぶ意欲を引き出せるようにすること。
まさしく、これからの教師に求められるファシリテーターですね❗

教育実践はあせらず学べばええんやで❗
教材研究がラクになる
『学び合い』を知ると、こんなことに気づきます。
「あれ❓ 教科書の問題でも全然楽しい授業ができるじゃん❗」
そうなんです。
『学び合い』はその気になれば、教科書の問題や1枚のプリントでも、立派に授業が成立し、そして案外楽しくなるのです。
『学び合い』のよくある目標設定として、「その答えになった理由を説明できる」という文言があります。
この目標を達成する中で、子どもたち同士で自然に会話が生まれます。
ただ、じっと先生の説明を聞くよりは楽しいはずです笑
「クラスみんなが、このプリントの課題が解け、なぜその答えになったのか3人以上に説明できる」
「クラスみんなが、教科書○ページの課題が解け、なぜその答えになったのか3人以上に説明できる」
こんな感じで課題を出します。
これで教材研究終了です❗笑
といいつつ、クラスの実態をきちんと把握しつつ、約30分間子どもたちだけで学び合える課題設定を考えるのは、やはり練習が必要ですよ。
ちなみに、深い教材研究を経て、単元まるごと取り組む、プロジェクト学習のような授業を否定するつもりは全くありません。
忙しい毎日を、なるべく効果的・効率的な教材研究で乗り切り、余裕ができたときにプロジェクト学習などに取り組めればいいと思います。

仕事に優先順位をつけるのが大切やで❗
まとめ:教育観をアップデートせよ
『学び合い』を実践すると、これまで発問や説明しか知らなかった自分に衝撃が走ります。
また、子どもたち同士で学び合うと、教師の想像を超えたアイデアの深さに驚くこともあります。
これは『学び合い』をやってみないとわかりません。
『学び合い』は、実際に観たり、実際にやってみたりすることで、初めて効果を実感できる教育です。
ぜひ、「食わず嫌い」にならず、一度でもいいので、『学び合い』実践者の授業を見学したり、自分でも『学び合い』に取り組んでみたりしてほしいと思います。
教育観がアップデートされるはずです。
もし質問等がありましたら、ぜひコメントやお問い合わせをしてくださいね!
これからもお互い頑張っていきましょう❗
今日のシン・キョウシ格言
「教材研究をする時間がなければ、『学び合い』を学ぶべし」
コメント
佐藤学先生が提唱した「学びの共同体」とは、何が違うのでしょうか?
吉田様
コメントありがとうございます!
僕の感覚ではありますが、「学びの共同体」は一斉授業の中で、子どもたち同士がしっとり聴き合う授業スタイルでした。
(浜之郷小学校の実践を観た限り)
『学び合い』は一斉授業ではなく、本当に子どもたち自身が自由に学び方を見つけていくスタイルでした。
どちらも学ぶべき素敵な実践だと思います!