以下の本を読んだことがあるだろうか?
「孫の二乗の法則」
これはソフトバンク創始者である孫正義氏の経営理念を形にした本である。
孫正義氏は若い頃から経営者として驀進を続けていたが、ある時重い病にかかってしまった。
病床にてたくさんの困難もあったが、読書は決して怠らず、その中でも「孫子」と「ランチェスター戦略」という著書に深い感銘を受けた。
どちらも「戦争」に関する戦略・戦術の本である。
確かに現代は(日本に関して言えば)戦争がない。
しかし、自分との闘い、相手との闘い、組織との闘いなど、我々の日常から形はどうであれ、闘いというものが無くなることはないだろう。
孫正義氏の歴史も闘いの日々だった。
「いかに勝つか?」
「いかに負けないか?」
この問いを突き詰める中で、「孫子」や「ランチェスター戦略」という、戦争の著書から闘いに関する知識・知恵を学ぶのは必然だった。
これらの著書から得た知見と、孫正義氏自らの経験をミックスさせた新しい経営理念。
それが「孫の二乗の法則」である。
これが「孫の二乗の法則」だ!
「孫の二乗の法則」は5✕5=25の漢字で構成されている。
それをまとめたのが下の図だ。

「孫子」を読んだことがない人も、たとえば「風林火山」といった言葉は聞いたことがあるだろう。
このように「孫子」や「ランチェスター戦略」の知見と、孫正義氏自らの経験をミックスさせ、「これだけは絶対に必要だ!」という強い言葉を、25個の漢字にまとめている。
ただし、この25個の配列は適当ではなく、きちんと意味がある。
各段横に読んでいくのが正しく、上段に行くほど「理念や志」といったマインドの部分を出し、下段に行くほど「具体的な戦術」といった方法論の部分を出している。
もう少し詳しく説明すると、
道天地将法=どうてんちしょうほう
頂情略七闘=ちょうじょうりゃくしちとう
一流攻守群=いちりゅうこうしゅぐん
智信仁勇厳=ちしんじんゆうげん
風林火山海=ふうりんかざんかい
と読み、さらに意味を細分化すると、
道天地将法=どうてんちしょうほう
・道(志を立てる)
・天(天の時を得る)
・地(地の利を得る)
・将(優れた部下を集める)
・法(継続して勝つ仕組みを作る)
頂情略七闘=ちょうじょうりゃくしちとう
・頂(ビジョンを鮮明に描く)
・情(情報を可能な限り集める)
・略(戦略を死ぬほど考え抜く)
・七(7割の勝算を見極める)
・闘(勝率7割とみたら果敢に闘う)
一流攻守群=いちりゅうこうしゅぐん
・一(一番に徹底的にこだわる)
・流(時代の流れを見極め素早く仕掛ける)
・攻(あらゆる攻撃力を備える)
・守(守備力を鍛えあらゆるリスクに備える)
・群(単独ではなく集団で闘う)
智信仁勇厳=ちしんじんゆうげん
・智(あらゆる知的能力を磨く)
・信(信頼に値する人物になる)
・仁(人々の幸せのために働く)
・勇(闘う勇気と退く勇気を持つ)
・厳(時として部下に対し鬼になる)
風林火山海=ふうりんかざんかい
・風(動くときは風のように素早く)
・林(重要な交渉は水面下で極秘に)
・火(攻撃は火のように激しく)
・山(ピンチでも決して動じない)
・海(勝った相手を包み込む)
このようになる。
「孫の二乗の法則」を学級経営に応用できないか!?
私自身、はじめてこの理念に出会ったとき、頭に「ガーン」と強い衝撃が起きたことを覚えている。
教師が自分の学校や学級を円滑に運営することを、学校経営や学級経営というが、この「孫の二乗の法則」はまさしく自らの経営に生かせると思った。
得てして、学級経営は担任の経験や感覚に頼るところが多く、汎用性の高い実践はなかなか見つからなかった。
また、優れた学級経営と言われる実践も、ここ最近の教育界の風潮は「テクニック」面ばかりに焦点を当てられている感じがある。
孫正義氏のように、「まずは志ありき」という、マインドの部分を大切にする実践が無くなってきているのだ。
もちろんテクニック面も非常に大切であるし、精神論を振りかざす主張も、今の時代はなかなか受け入れらないだろう。
しかし、私は、いつでも教育に対して熱い情熱と、子どもたちに対して深い愛情を注いでいる教師をたくさん見てきた。
そして彼らはいつの時代も変わることなく、素晴らしい実践を残している。
教師の人気が下がりつつあるこの時代。世間からの評判も厳しい。
しかし、だからこそ教育に対する情熱と愛情を持ち続ける教師に私はなりたい。そして、そんな教師を応援したい。
本記事は「孫の二乗の法則」の概略編であるが、今後はこの経営理念のエッセンスをより具体的に学級経営に生かす方法を発信していこうと思う。
本記事を読んで、「孫の二乗の法則」、また、紹介したいくつかの著書に興味が湧いた方はぜひ読んでみてほしい。
精読感謝致します。
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