おはようございます。ハルキです。
当サイトに訪問してくださって、誠にありがとうございます。
職業としての教師をやっております。
今回は、「孫子の名言〜孫子の兵法を学級経営に生かす」というテーマでお話します。
僕自身が学級経営に悩んだときは、いつも孫子の兵法を見直すようにしています。
孫子の兵法は学級経営のみならず、生きていく中で、仕事をしていく中で、大切になる考え方が満載です。
当サイトを参考にして、ぜひご自身の人生に少しでも生かしていただけたら幸いです。
それでは見ていきましょう!
孫子の兵法とは古代中国の兵法書である!
以下の著書をご覧になったことはありますでしょうか?
孫子(そんし)は古代中国の兵法書、つまり戦争においての戦略・戦術の本なのです。
現代の日本に戦争はありませんが、孫子の理論を、ビジネスに生かしている経営者はたくさんいます。
孫子を愛読している偉大な人物は多く、戦国時代なら、武田信玄や徳川家康、現代なら、ビル・ゲイツや孫正義が当てはまります。
特に孫正義氏は、孫子の兵法をご自身の経営理念に生かし、その集大成を「孫の二乗の法則」として、まとめています。
また、先程紹介した武田信玄の、有名な言葉である「風林火山」も、この孫子の兵法から来ています。
孫子の兵法は、今You tubeで検索しても、かなりの数でヒットします。
つまり、孫子の兵法は、幾度なく長い歴史を経ても読みつがれる、不変の戦略・戦術書なのです。
そして、一流の経営者も愛読しているように、我々教師の学級経営にもしっかり生かすことができます。
孫子の兵法の本質は負けないことである
孫子の兵法は、戦略・戦術書だと言いました。
その本質を一言で述べると、「負けない戦略・戦術」です。
似て非なる言葉として、「勝つ戦略・戦術」がありますが、これは孫子の兵法の本質ではありません。
何よりも「負けないこと」。
より具体的に言うと、
・必ず負けない準備をする
・必ず負けない相手と戦う
・必ず負けないタイミングで戦う
・必ず負けない相手ではない場合、敢えて戦わないという選択肢もある
という、血なまぐさい戦争の場面を思い浮かべた人には、拍子抜けするような内容なのです。
孫子の兵法を学級経営でイメージするならば、「学級崩壊をさせないこと」に尽きると思います。
おもしろい授業や、素晴らしい実践などは二の次です。
そもそも、おもしろい授業や、素晴らしい実践も、学級崩壊になってしまえば目指せる領域ではありません。
学級担任として、最低限(その最低限すら難しいのですが)、学級崩壊をさせないこと。
つまり、「孫子の兵法を学級経営に生かすとは学級崩壊をさせないこと」、ということを忘れないでください。
孫子の兵法を学級経営に生かす名言
大変、お待たせしました!
それでは、学級経営に生かせる孫子の兵法の名言を紹介致します。
実は孫子の兵法は、そんなに長い書物でもなく、一日あれば間違いなく読み終える内容なのです。
しかし、それでもすべてを紹介することはできないので、ここでは僕が厳選した名言を紹介します。
原文(訳文)と、学級経営に生かす僕のなりの解釈を述べています。
ぜひ参考にしていただけたら幸いです!(参考文献はすべて岩波文庫『新訂 孫子』より)
五つの事 七つの目算
孫子はいう。戦争とは国家の大事である。〔国民の〕死活がきまるところで、〔国家の〕存亡のわかれ道であるから、よくよく熟慮せねばならぬ。それゆえ、五つの事がらではかり考え、〔七つの〕目算で比べあわせて、その時の実情を求めるのである。〔五つの事というのは、〕第一は道、第二は天、第三は地、第四は将、第五は法である。〔第一の〕道とは、人民たちを上の人と同心にならせる〔政治のあり方の〕ことである。そこで人民たちは死生をともにして疑わないのである。〔第二の〕天とは、陰陽や気温や時節〔などの自然界のめぐり〕のことである。〔第三の〕地とは、距離や険しさや広さや高低〔などの土地の情況〕のことである。〔第四の〕将とは、才智や誠信や仁慈や勇敢や威厳〔といった将軍の人材〕のことである。〔第五の〕法とは、軍隊編成の法規や官職の治め方や主軍の用度〔などの軍制〕のことである。およそこれら五つの事は、将軍たる者はだれでも知っているが、それを深く理解している者は勝ち、深く理解していない者は勝てない。それゆえ、〔深い理解を得た者は、七つの〕目算で比べあわせてその時の実情を求めるのである。すなわち、君主は〔敵と身方とで〕いずれが人心を得ているか、将軍は〔敵と身方とで〕いずれが有能であるか、自然界のめぐりと土地の情況とはいずれに有利であるか、法令はどちらが厳守されているか、軍隊はどちらが強いか、士卒はどちらがよく訓練されているか、賞罰はどちらが公明に行なわれているかということで、わたしは、これらのことによって、〔戦わずしてすでに〕勝敗を知るのである。
五つの事 七つの目算を学級経営に生かす
初っ端から、長い引用ですみません笑
しかし、大切な文章ですので一文一文、しっかり味わってほしいと思います。
道
戦争において大切なのは、「道」。
人民たちを上の人と同心にならせる〔政治のあり方の〕ことです。
学級経営でたとえると、教師の想いと子どもたちの想いが合致したときに、初めて素晴らしいクラスになるということです。
たとえ、教師が正論や美辞麗句を振りかざそうとも、目の前の子どもたちが全く納得していなければ、信頼関係は薄れていきます。
個人的な経験として、「勉強熱心」な教師ほど要注意です。
勉強熱心な教師は、いろいろな著名人や著書から様々な実践を学んでいきます。
しかし、それはあくまで「その人・そのクラス・その子どもたち」の実践です。
僕たちに大切なのは「自分・自分のクラス・自分の子どもたち」なのです。
ズレが合って当然なのです。
それを教師が、素晴らしい実践なのだからと意固地になって続けていくと、どんどん子どもたちとの心の距離が離れていきます。
教師は「理想」にしか目が行かず、「現実」に目の前にいる子どもたちが見えなくなります。
こうやって、クラスは上手くいかなくなるのです。
僕も経験ありますし、同じような経験をされた先生方をたくさん見ていました。
要注意です。
天
天とは、陰陽や気温や時節〔などの自然界のめぐり〕のことです。
学級経営でたとえると、「タイミング」になります。
ある実践、ある活動をするにあたって、適切なタイミングなのか、見極める必要があります。
どんな優れた実践でも、クラスの人間関係がまだ希薄だったり、行事でバタバタしている時期だったりすると、目覚ましい効果は発揮できません。
・GIGAスクール構想
・探究的な学び
・個別最適化
などなど、最近の教育は、カッコいい言葉がたくさん並んでいます。
積極的に実践していくのは良いことなのですが、今のクラスの状態に照らし合わせ、適切なタイミングで実施するのが大切です。
地
地とは、距離や険しさや広さや高低〔などの土地の情況〕のことです。
学級経営でたとえると、クラスの土台となるインフラのことです。
僕は「学びのインフラ」と呼んでいるのですが、学級経営をするにあたって、環境をしっかり整えようということです。
具体的には、
・もの
・場所
・時間
・ひと
これらを整えるのが大切です。
詳しくはこちらに述べているので、ぜひご覧になってみてください。
将
才智や誠信や仁慈や勇敢や威厳〔といった将軍の人材〕のことです。
学級経営でたとえると、教師自身の人格のことです。
人格というと、高尚すぎるイメージがありますね笑
教師は子どもたちから信頼されているか、というところです。
授業を細かく分析すると、
・WHAT(何を教えるか)
・HOW(どのように教えるか)
そして、
・WHO(誰が教えるか)
このような視点があります。
巷の教育実践や教育書は、WHATやHOWについて述べています。
ハウツーみたいなものです。
しかし、「教える」とはそんなに甘いものではありません。
WHO(誰が教えるか)が非常に重要なのです。
同じ内容でも、Aという人から聞いたときと、Bという人から聞いたときでは、納得感が全然違う、という経験をしたことはないでしょうか。
つまり、信頼できる人からの情報はすんなり心に入って、信頼できない人からの情報はシャットダウンする、あの感覚です。
同じ内容でも、その人によって変わってきますよね。
だから、教師というのは「教える者」に値するような、最低限の信頼関係は持っていないといけないのです。
それでは、最低限の信頼関係を築くにはどうすればいいのか。
それは、ただ一つ。
「子どもの話を聴くこと」です。
また、どこかでしっかり述べたいと思います。
法
軍隊編成の法規や官職の治め方や主軍の用度〔などの軍制〕のことです。
学級経営でたとえると、クラスのルールがしっかり整えられているかです。
ここ最近の教育では、ルールという言葉に対してマイナスのイメージが強くなっている気がします。
ブラック校則といった感じですね。
ブラックなルールは確かに改定が必要なのですが、ルールという言葉自体にマイナスのイメージを持つ必要は全くありません。
たとえば、サッカーの試合中に、あるフィールドプレイヤーが急に手を使い出したらどうでしょうか。
試合もへったくれもないですよね笑
やっている方も、観ている方も、つまらなくなってしまいます。
もちろん、目の見えないプレイヤーのために、ボールに鈴を入れる「ブラインド・サッカー」や、コート・ボール・人数が小さく、少なくなる「フットサル」などもあります。
これは状況に応じて、サッカー自体のルールを変えている良い例です。
ルールによって、みんなが楽しくプレーできます。
つまり、「ルールの本質はフェアプレー」です!
ルールは目に見えづらいけど、人類が開発した素晴らしい発明だと、僕は思っています。
このように、学級経営においては、教師と子どもたちが、いかにルールを前向きに捉え、いかに適切に守られているか、が大切になります。
「ルールメイキング」という子どもたち自身がルールを考えていく実践も最近流行っています。
良い試みだと思いますが、どうか「ルールって堅苦しいよね」という想いではなく、ルールを前向きに捉える心を育んでほしいと思います。
七つの目算
君主は〔敵と身方とで〕いずれが人心を得ているか、将軍は〔敵と身方とで〕いずれが有能であるか、自然界のめぐりと土地の情況とはいずれに有利であるか、法令はどちらが厳守されているか、軍隊はどちらが強いか、士卒はどちらがよく訓練されているか、賞罰はどちらが公明に行なわれているかということで、わたしは、これらのことによって、〔戦わずしてすでに〕勝敗を知るのです。
以上が七つの目算の視点ですが、あまり難しく考える必要はありません。
先程紹介した、「道」「天」「地」「将」「法」が、自軍と敵軍ではどちらかが優れているか分析し、その結果によって、戦わずして勝敗を知るのです。
学級経営力を高めるには、様々な実践を学ぶことが大切です。
それは、同僚や先輩、また著名人や著書となるでしょう。
そのときに、本当に優れた実践なのかを見極めるのが七つの目算です。
この実践は「道」「天」「地」「将」「法」が本当に優れているのか。
優れているなら、学ぼう、取り入れよう。
優れていないなら、敢えて取り入れない。
学級経営を見極める視点を与えてくれます。
まとめ:人間の悩みは基本変わらない
孫子の兵法を学級経営に生かす名言は、いかがだったでしょうか。
僕自身は「こんな昔の言葉なのに、なぜ心に染み渡るのだろう」と感じました。
それもそのはず。
時代は変化し、物質や環境は変わろうとも、「基本的に人間の悩みは変わらない」ということです。
人間の悩みの本質を描き出した孫子の兵法は、時代を超えても我々にたくさんの教訓を与えてくれますね。
まだまだ孫子の兵法の名言はたくさんあるので、これからも少しずつ紹介していきたいと思います。
ご精読感謝致します。
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