学級経営とは教師と子どもの信頼関係である〜「孫の二乗の法則」で考える学級経営『将編』

孫の二乗の法則

一流の経営者から学級経営を学ぶシリーズです。

今回はソフトバンク創始者である、孫正義氏の経営理念を描いた「孫の二乗の法則」から学んでいきましょう!

「孫の二乗の法則」は著書にもなっていますので、興味がある方はぜひご覧になってみてください!

この「孫の二乗の法則」と学級経営がなぜ結びつくのか、また、なぜ自分がこのテーマについて書こうと思ったのか、については、下のリンクから「概略編」としてまとめていますので、まだの方はぜひご覧になってみてください。

以上を確認した上で、それでは本題に行きましょう!


将とは?

「孫の二乗の法則」を見てみます。

孫の二乗の法則 孫正義の成功哲学 (PHP文庫)板垣英憲より引用

今回、取り上げるのは上段の「将」です。

将とは、将軍のことでして、組織のリーダーに当たります。

戦争の将軍といえば、思いつくのはやはりこの漫画ですね!

アニメや映画にもなっているキングダムです。

古代中国の春秋戦国時代、始皇帝が秦を統一する時代の漫画です。

いわば戦争漫画。

主人公は「天下の大将軍」を目指して、日々鍛錬に励んでいます。


さて、この「将」の視点を学級経営に生かしていきます。

一つは孫子の兵法の原文(訳文)。

「将とは、才智や誠信や仁慈や勇敢や威厳〔といった将軍の人材〕のことである」

という意味があります。

そして、もう一つは孫正義氏が「孫の二乗の法則」で述べた言葉。

「優れた部下を集める」

という内容でして、そもそもの孫子の兵法と、少し意味と違っているのがわかります。

どちらも学級経営において、すごく大切なことなので、両方の視点で述べていきたいと思います。


WHO(誰が教えるか)を意識せよ

「将とは、才智や誠信や仁慈や勇敢や威厳〔といった将軍の人材〕のことである」

もう一度、将の定義を確認しますが、何ともまぁ理想的な人物ですね笑

結論から言うと、教師もこのような将軍になりなさい!ということです。


「無理だ!」


と思った人。

大丈夫です。

もちろん僕もそんな素晴らしい人間ではありません笑


もう少し現実的な話をしますね。

将としてふさわしい教師とは、「子どもたちとの信頼関係がある」ということです。

子どもたちの自主性が求められる昨今の教育とはいえ、学校において、教師からの指示や説明は絶対にあるはずです。

そのとき、大切になるのは教師と子どもたちとの信頼関係です。

信頼関係がなければ、教師からの指示や説明を素直に受けとれません。

いわば、「言うことを聞かない状態」になってしまうのです。


WHAT・HOW・WHOで教える

授業のワンシーンを思い浮かべてみましょう。

教師が子どもたちに何かを教えている場面です。

さて、このとき3つの視点に分けることができます。

それが以下の視点です。


・WHAT(何を教えるか)

・HOW(どのように教えるか)

・WHO(誰が教えるか)


たとえば、1年生の国語において…



・WHAT(漢字を教える)

・HOW(ノートに書かせて教える)

・WHO(担任の先生が教える)


となります。

さて、このとき、WHATとHOWの部分はある意味、誰でもできます。

いわばハウツーです。

巷の教育実践や教育書は、WHATとHOWについて述べているものが多いです。


しかし、「教える」とはそんなに甘いものではありません。

WHATでもHOWでもない3つ目の視点。

つまり、WHO(誰が教えるか)が非常に重要なのです。


たとえば、同じ内容でも、Aという人から聞いたときと、Bという人から聞いたときでは、納得感が全然違う、という経験をしたことはないでしょうか。

つまり、信頼できる人からの情報はすんなり心に入って、信頼できない人からの情報はシャットダウンする、あの感覚です。

同じ内容でも、その人によって変わってきますよね。

WHOをないがしろにして、WHATやHOWの実践を高めても、実は効果が薄い。

だから、教師というのは「教える者」に値するような、最低限の信頼関係は持っていないといけないのです。

何も学園ドラマのようなシーンを目指さなくても大丈夫です。

最低限の信頼関係でいいのです。

子どもの話を聞いてあげる。

一緒に遊んであげる。

一貫性のある指導をする。

など、日頃からコツコツ、子どもたちとの信頼関係を築いていきましょう。


子どもたちもリーダー

今度は、孫正義氏が「孫の二乗の法則」で述べた言葉、

「優れた部下を集める」

という視点で、学級経営を見ていきましょう。


孫正義氏はソフトバンクという会社で、自分の他に、数人の優れた部下を得る大切さを述べています。

「いかに優秀な人でも一人では何もできない」

という言葉を残し、学級経営でたとえるならば、

「いかに優秀な教師でも一人では何もできない」

という意味になると思います。


本テーマは学級経営ですので、基本的には「担任1人で1クラスを運営する」のが当たり前だと思います。

それなのに、「いかに優秀な教師でも一人では何もできない」ってどういうこと?

と矛盾した想いになりますよね。


簡単なことです。

クラスとは「教師と子どもたち」が力を合わせて成長するもの。

つまり、教師一人ですべてをやるのではなく(そもそもそれは無理なはず)、子どもたちの力も借りながら学級経営をしていくの大切なのです。


一番わかりやすいのが、給食準備や掃除当番です。

当番活動が円滑に行われているクラスは、クラス全員がテキパキ動き、あっという間に準備を終えてしまいます。

子どもたちの様子を見ると、見事なリーダーシップを発揮しています。

教師一人でやるより、遥かに効果的・効率的です。


成長と結果の両方の軸を持て!

当番活動で「ん?」と思った方もいると思います。

経験のある方はご存知の通り、当番活動は円滑にいかないときもあります。

上手くいかない当番活動に生産性はないですし、教師も疲れます。


はっきり言って、子どもたちに任せて上手くいかないぐらいなら、教師がすべてやった方が効率的です。

その気持ち、すごくよくわかります笑


ただ、たとえ効率的とはいえ、教師がすべてやってしまうと、子どもたちはいつまで経っても成長することができません。

成長の機会を奪ってしまいます。

子どもたちの成長はある程度の時間が必要なのです。

たとえば、低学年の給食準備など、はじめは絶対に時間がかかるでしょう。

しかし、これは彼らにとって「成長」の時間なのです。

グッとこらえて、時間をかけ、失敗しても繰り返し練習させなければなりません。

そうすることで、少しずつ準備が早くなり、きちんと「結果」を出してくるのです。


もちろん、学校には効率的に運営する場面や、結果重視の場面もあります。

一方、結果よりも成長の機会を与えてあげる場面もあります。

教師は、子どもたちに対して、成長と結果の両方の軸を持つことが大切なのです。


まとめ:将たるものの責任

「小学校でも教科担任制」

という言葉が少しずつ、ニュースでも流れ、実際に教科担任制を取り入れている学校も増えてきています。

学級担任の負担を減らす目的としては、良い取り組みだと思います。

しかし、同時に、担任としての「責任感」を失ってはいけないと思います。

将たるものの責任をしっかり持ち、キングダムのような将軍を目指して、これからも頑張っていきましょう!

ご精読感謝致します。

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