「先生は吃音を抱えています」
年度初めの子どもたちとの出会い。
こんな言葉から1年をスタートします。
現役小学校教師のハルキと申します。
幼少期から吃音を抱えています。
大人になってからも吃音がなくなることがありません。
「吃音とともに人生を生きている」といっても過言ではありません。
吃音を抱えながら教師という仕事をよくやっているな、と時々自分でも思います。
教師はよく話す仕事ですので笑
もちろん吃音によってつらい想いをしたことは、昔も、そして今もあります。
僕自身の体験談から、今回は「吃音でつらかったことと、そしてどう乗り越えたか(教師編)」という内容でお話します。
いつもは学校の先生向けのアドバイスを書いていることが多い当サイトですが、今回は少し趣向を変えています。
・吃音を抱えている人
・吃音を抱えている人と接している人
こんな方々へ向けて、僕の体験談が何かのアドバイスになれば幸いです。
ハルキは教師として吃音でどんなことに悩み、そしてどう乗り越えたのか?
最後まで楽しく読んでみてください笑
尚、教師としてではなく、僕が学生時代の吃音の悩みも書いていますので、よければこちらもご覧ください。
吃音でつらかったことと、そしてどう乗り越えたか(教師編)
僕が教師になってから吃音でつらかったこと…
結論は以下の通りです。
・全校朝会での司会・進行
・電話
・卒業式
共通することがありまして、
①緊張する場面
②決められたセリフ
以上の2つが組み合わさったとき、それはそれは吃音者にとって大変な場面となります。
もう少し詳しく述べていきましょう。
全校朝会での司会・進行は大変!
学校によっては全校朝会(もしくは全校集会)というものがあり、朝に全校児童が体育やグランドに集まり、校長先生の話や校歌を歌うイベントがあります。
そして朝会の司会・進行なのですが、教員が輪番で担当することが多いです。
今まで僕が勤務してきた職場は、一番小規模な学校でも全校児童は350人ぐらいはいました。
そう。約350人ぐらいに向けて、マイクを使って、それなりに厳粛なムードの中、司会・進行をするのです!
この場面が吃音にとって、どれだけ大変かわかるでしょうか❓
吃音が出やすい場面というものがあります。
それは先程述べたように、
①緊張する場面
②決められたセリフ
なのです。
もちろん、まだまだ色々な要素がありますが、まずはこの2つの場面をよく知ってほしいと思います。
さて、緊張する場面というは、そもそも吃音があるなし関係なく、どんな人も言葉がつまりやすくなるものです。
仮に吃音が出ても、周りの人は「あの人緊張しているのね」と思うだけかもしれません。
実際、全校朝会で司会・進行をやった後は、けっこう子どもたちから「先生、すごく緊張していたね!」と言われます笑
それでも、長年自分の吃音と付き合っていると、「この言葉はつまりそうだ」と話しながらわかってくるものなのです。
そして、話しながらでも、なるべく言葉がつまらないような言い方に変えていきます。
これは吃音者のすごいところでして、彼らが「頭の回転が速い」と言われる所以です。
ただし、全校朝会での司会・進行というのは音読のような原稿があります。
つまり、「この言葉がつまりそうだ」とわかっていても、そのまま言わなくてはならないのです!
結果、他人にわかるぐらいの吃音が出ながら司会・進行をすることになります笑
以上のことがあり、全校朝会での司会・進行は本当に大変なのです。
電話も吃音の天敵!?
学校の先生は電話をすることが多い仕事です。
電話の内容は基本保護者です。
児童がケガをしてしまったり、早退をしたりする際に電話で連絡を取ります。
ただでさえ保護者との電話は緊張します笑
そして、電話にはもう一つ吃音の天敵があります。
天敵といっても先程言ったことと同じです。
決められたセリフがあるのです。
「電話に決められたセリフを言う場面なんてあるの❓」
と思ったかもしれませんが、それがあるのです笑
それは冒頭の挨拶です。
つまり、
「おはようございます。◯◯小学校◯年◯組担任のハルキです」
です。
自己紹介が苦手というのは学生編でも述べました。
電話をするたびに自己紹介を再びやっていく感覚です笑
以上、電話も吃音が出やすく大変なのです!
卒業証書授与ほど吃音にとって大変なことはない!
小学生の一大イベントである卒業式。
この卒業式を飾る6年生担任というのは、とても大変なのですが名誉あることなのです。
ただし!
「僕が吃音を抱えてきて、人生で一番大変だったことは何か?」と問われたら、間違いなく卒業式と答えます!
くどいですが吃音の出やすい場面は、
①緊張する場面
②決められたセリフ
です。
当たり前ですが、卒業式は6年間の「締め」です。
それはそれは厳粛なムードで行われます。
緊張感の高みです笑
そして、卒業式には「卒業証書授与」というものがあります。
卒業生は一人ずつ壇上で校長先生から卒業証書をいただきます。
さて、卒業証書をいただく前に、卒業生の名前を呼ぶ者がおります。
それが6年生担任です。
つまり、あの厳粛なムード最高潮の中、卒業生一人ひとりのフルネームを、マイクで、体育館で、数百人の中、一人で読むのです!
このつらさたるや、想像を絶するものでした。
人生で一番緊張した場面でした。
僕は吃音をどう乗り越えてきたのか
僕は現役の教師です。
ですので、今でも吃音とともに、全校朝会での司会・進行をやり、保護者と電話のやり取りをしています。
吃音はもちろん出ます。
つまり、「いつの間にか吃音がなくなりました」という意味で乗り越えてきたのではありません。
吃音を抱えつつも、精神的に乗り越えてきたのです。
とはいえ、精神論だけでは本記事を読んでいる方に申し訳ないでしょう。
ですので、具体的な方法を教えます。
僕が吃音を乗り越えるためにやった「たった一つ」のことです。
結論、
吃音があることを他人に言う
後にも先にもこれ以上の方法はありません。
かつて、視力が低い人を「視覚障害」だと認識していた時代がありました。
そして、視力を高める「眼鏡」が生まれました。
今の時代、視力が低い人を「視覚障害」だという人は誰ひとりいません。
「眼鏡」は当たり前のように着けている人がいて、時にはファッションの一部にもなってしまいました。
つまり、本人の周りの考え方によって障害なんてものは消滅するのです。
吃音だってそうです。
本人と周りの人が吃音のことを知っていつつ、そして気にしなければ、もはや吃音は存在しないのと同じです。
話を元に戻します。
僕は新学期になり、新しい職場や学級を担当すると、同僚・児童、保護者などに吃音があることを伝えます。
それは、着任式であったり、直接の声であったり、学級通信であったり、色々な方法で伝えます。
この瞬間、僕が吃音であることをみんな知ってくれます。
周りの理解があるので、安心して「どもる」ことができます。
全校朝会での司会・進行は確かに大変です。
しかし、それでも何とかなるのは全校児童や職員が、僕の吃音を知っているからなのです。
だから、朝会が終われば「先生、お疲れ様!」と言ってくれます笑
電話も大変です。
しかし、保護者も僕が吃音であることを知っています。
ですので、冒頭の挨拶でつまっても「あ、ハルキ先生ですね!」と、相手から話を切り出してくれます笑
卒業式もすごく大変です。
でも、基本卒業生も保護者の方々も、みんな僕の吃音を知っています。
だから大変ではあったけれども、乗り越えることができたのです。
自分から吃音であることを言うことは勇気が必要です。
でも、その勇気を頑張って出せば、あなたの吃音は本当に解消されます。
断言します❗
今回は僕が教師になってから吃音でつらかった体験談です。
少しでもプラスになっていただけたら幸いです!
もし困ったことがあれば、ぜひメッセージしてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました❗
それでも吃音で就職や転職を悩んでいる方々へ
まずは、無料で相談できる就職・転職支援サービスを考えてみていかがでしょうか。
※吃音イコール障害というわけではなく、一つの悩みとして相談してみてください。
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